しのはらの出発点――「第3のサポートインダストリ」を拓く

しのはらプレスサービスは1973年の創業です。プレス加工という産業そのものは長い歴史がありますが、そのなかで当社は他に類を見ない独自のサービスを創案し、それがお客さまに厚く支持されて、現在では確固たる地歩を築くことができました。

当社が起業する以前は、プレス加工産業のサポートインダストリとしては、プレス機械メーカー(大手数社)と修理業者(小企業が全国に500以上)の2種類しかありませんでした。メーカーは新式装置を開発してそれを販売する、修理業者は壊れた旧式装置を応急処置的に直す――この2極だったのです。私はその当時、プレスメーカーに籍をおいていましたが、個人的に「産業構造の変化」に興味を持って調査をつづけていました。その結果、プレス機械の生産性向上をトータルで考えた場合、それまでの新式装置への交換、旧式装置の修理だけではない、お客さまによりメリットをもたらす「第3の市場」が見いだせるのではないかと考えたのです。けっして机上の空論ではなく、モデルとなる実例が自動車産業や紡績産業ではすでにありました。それが「メンテナンス」のビジネスです。

さっそく在籍していたプレス機械メーカー社内で、このビジネスモデルを提案しました。社内分社というかたちでの起業をめざしたのです。しかし、周囲の反応は冷ややかなものでした。「従来のビジネスでうまく行っているのだから、新しい市場など必要がない」という現状に安住しようという考え方が主流だったのです。1970年代初頭といえば高度経済成長がまだ続いていましたし、もともとプレス機械は寿命が長いものなので、それを製造するメーカーは時代の変化に対して感度が鈍いきらいがありました。しかし、産業界でも一部の敏感な人たちは遠からず低成長時代がくることは予測していたのです。そのときこそ「メンテナンス」への需要が高まると、私は考えていました。

かくして、自力での創業を決意したのです。企業規模としてはささやかなスタートでした。しかし、私たちには「志」がありました。

メンテナンスは「知識集約型ビジネス」でなければならない

従来の修理は職人技の世界でした。そこで用いられているのは、技術というよりも技能です。技術と技能の違いは、技術が集積化・知識化・標準化されたものであるのに対し、技能が一人ひとりの職人の経験や勘によるものだということです。しのはらが目ざす「メンテナンス」はもちろん技術です。まず取り組んだのは、そのバックボーンとなる情報の収集でした。

メンテナンスに必要な情報には2種類があります。ひとつは「静的情報」。これは装置のスペックに関わるもので、製品カタログや取扱説明書から抽出できます。私たちはできるかぎりの製品情報を集めました。もうひとつは「動的情報」。お客さまそれぞれが装置をどう使っているか、部品の劣化状況はどうなのかといった個別の情報、時間経過によって変化しつづける情報です。自動車産業では、この動的情報が点検表として具現化されています。人間に喩えれば人間ドックの診察表ですね。

従来の修理は壊れた状態、つまりマイナスからのスタートでした。しかし、メンテナンスは壊れる前、つまりゼロからスタートすることができる。そのゼロ地点に必要なのが、あからじめ静的情報と動的情報を備えていることなのです。しのはらは発足時点から自らを「知識集約型ビジネス」と捉えていました。

「情報の価値」を認めてくださったお客さまに支えられて

動的情報を得るためには、お客さまのもとで機械のデータを取らなければなりません。それが「点検」作業です。当社創業の時点ではまだプレス機械の点検を義務づける法令がありませんでした。もちろん業界としての点検の習慣もありません。そんな状況のなか、わざわざ金を払ってまで「点検」を依頼するお客さまがいるわけない。そんなことを言われました。私がプレス機械メーカーで提案したときも、そうした反対意見が大勢でした。

しかし、実際に事業をはじめてみると、お客さまから確かな反応が返ってきました。需要はあったのです。「点検は将来のための情報収集」「価値ある情報には対価が必要」それを理解してくださるお客さまがいらっしゃったのです。高度情報化社会となった21世紀ではもはやあたりまえの発想ですが、1970年代にはまだ新しい考え方でした。

私自身が営業として多くのお客さまを訪問しましたが、当社のメンテナンスの趣旨に賛同いただける方が予想以上に多く、心強く感じたことを鮮明に覚えています。

プレス機械のトータルソリューション、その川下から川上まで

さて「点検=動的情報の収集」は、当社のサービスにとって第一歩にすぎません。これに基づいて、プレス機械のライフサイクル全般にわたるトータルソリューションを提案していくことこそ、しのはらの存在意義です。私は創業時点からそう考えていました。ただし、一足飛びにそこまでいけるわけではない。急いては事をし損じる。先ほど「点検=動的情報の収集」は第一歩と言いましたが、これは原点ということです。これを疎かにしてはいけません。情報の精度を可能な限り高めていくこと。点検の技術をしっかり磨いていくこと。私たちはつねに研鑽をつづけてきました。

その結果、当社40年におよぶ歴史のなかで、徐々にビジネスのバリエーションが広がってきたのです。

未来へのビジョン――独自技術をもったパートナーとの協業

先ほどご説明したとおり当社の原点であるメンテナンスもそうですが、現在おこなっているすべてのサービスがお客さまとのパートナーシップによって成りたっています。案件が成功するには「私たちの力が50%、お客さまの力が50%」です。しのはらはお客さまに恵まれてきたと感謝しております。

パートナーシップを基本に考える当社は、けっして売上至上主義に走ることなく、ひとつひとつのおつきあいを大切にし信頼を構築することに全力を尽くしてきました。プレス機械に関するひとつの問題をクリアするごとに、お客さまから「次はこういうこともできないか?」と、より高度なテーマを投げかけられます。その積み重ねが、結果的に「川下から川上へ」の広がりとなってきたのです。

今後のしのはらはパートナーシップの考え方を、さらに新しい次元でも展開していきます。従来の当社は技術とサービスについては自社主義を貫き、機械技術・電機技術・制御技術にわたって内製を旨としてきました。しかし、お客さまの要望にお応えしてソリューションの範囲をさらに広げ、迅速な対応力を増していくために、固有の技術を持ったパートナーとの協業が決め手になると考えます。わが国には、ユニークな技術を有する中小企業が綺羅星の如く存在します。そのなかには当社のお客さまもありますし、これまであまり接点のなかった業界の技術会社もあります。当社がコア企業となり、フレキシブルで緩やかな連携によって、プレス機械に関わるあらゆるニーズに応えていきたい。いまが当社にとって第2の創業期なのかもしれません。

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